【蓼科東急ゴルフコース】
標高1200m、荘厳な八ヶ岳に包まれた大自然豊かなゴルフコース。距離は短めだが、フェアウェイが広く高速グリーンが最大の特徴。各コースから八ヶ岳連峰を拝める。冬季はクローズ。
長野県茅野市北山鹿山4026-2
URL : https://www.tokyu-golf-resort.com/tateshina/
インパネにはマイナス3℃の数字が点灯していた。昼間との気温差は実に16℃、内陸性気候の特徴だ。運転席から外に出ると、なるほど芯から冷える寒さである。
フロントでチェックインを済ませ、早速部屋で明日の準備をしながらイメージトレーニングに入った。大きな窓ガラスに映る自分の姿を捉えながら、何度もスイングを繰り返し動きを止めてはフォームを確認する。
ここのところどうも調子が悪い。元々抜群に上手いわけではないが、この一年程でコツコツ調子を上げてきただけに、最近の低迷振りは正直鬱気味になりかけている。寝ても覚めてもゴルフのことばかり。良くも悪くもゴルフに取り憑かれてしまったようだ。
翌朝、目に飛び込んできた風景に感嘆の声が漏れた。黄金色をベースに赤・オレンジ、そして少しの緑が混ざったグラデーション。蓼科高原に広がる色鮮やかな絨毯は、まるで絵画のように深く豊かな色彩を放っている。激しい寒暖差がこの高原特有の美しい紅葉を生み出しているのだろう。圧倒的な風景の中で自然と一体になれるゴルフは贅沢の極みだ。
この蓼科東急ゴルフコースは全体的にショートだ。グリーンはとにかく高速で、少しでもタッチを誤るとたちまちボールがかけ離れてしまう。上級者には物足りないかもしれないが、所々難所もあり攻略を楽しめるのではないかと感じる。とりあえず今回はラフな気持ちでコアにこだわらず、肩の力を抜き臨んだ。時折視界に入る雄大な八ヶ岳連峰が精神を一点に集中させてくれる。
力が抜けていたお陰か、それとも練習だと割り切ったからか、終始ミスショットは少なくドライバーの飛距離も良かった。納得できる程のものではないが、ここ最近にしては良かったのではないだろうか。
しかしその日の晩、自分のスイング写真と動画を見て愕然とした。プロの個人レッスンを受け続け、徐々に弱点を克服してきたという自負があっただけに、自分のスイングのひどさに言葉を失ったのだ。プロが提唱する下半身リードのスイングすらできていない。自分のことは自分が一番わかっていないものだ。客観的に見ることの重要性を痛感したし、そのことにいち早く気づくことが上達の最大の近道なのだと改めて感じた。
天才は一握りの人間しかいない。長年の努力と積み重ね、そして専門性の違いによって差が出るのが大多数だ。だからこそ、定期的にプロに教わる意義がそこにある。
「わかったつもり」や「できたつもり」になって学びを止めたり、苦しくなって放棄するのは簡単だが、思考や習慣は元に戻りやすい。自分が思い描いていることと現実がいかにかけ離れているか、その確認と軌道修正のためにも、これからも学び続けていこうと静かに自身の心に誓った。
松本隆宏(文/山本さくら)