豪放な実業家のエドワード(ジャック・ニコルソン)と、勤勉な自動車整備士のカーター(モーガン・フリーマン)。余命半年を宣告された2人は病室で出会い、やがて意気投合。やりたい事を叶えるために病院を脱出し、共に人生最後の旅に出る。
監督は「スタンド・バイ・ミー」や「ミザリー」の名匠ロブ・ライナー。
まず、この2人が出ていて面白くないわけがない。ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン。今さら説明する必要もないが、どんな作品でも強烈な存在感を放つ、いぶし銀の二大名俳優が「死」というセンシティブな内容をユーモアを交えながら爽やかに演じているのは流石のひとことに尽きる。
個人的にはモーガン・フリーマンの大ファンだ。名優というのは、仕草で語るし、ただ黙っているだけで画になる。のちに日本版が公開されたが、アメリカ版のメインキャストはやはりこの2人以外は考えられなかっただろう。
そして、もう1人忘れてはいけないのが、エドワードの秘書トーマス(ショーン・ヘイズ)の存在だ。この物語の鍵となる彼の活躍は賞賛に値する。
しかし、この作品が面白いのは名優たちの仕事っぷりだけではない。境遇も考え方も全く正反対の2人がどんどん距離を縮めていき、ラスト半年を生き生きと駆け抜けてゆくストーリー展開は、伏線も綺麗に回収していくなど緻密に計算されているのだ。俳優の好き嫌いはあっても、この作品そのものを嫌う人は少ないだろうと感じる。
もし余命宣告をされた時、自分なら残りの時間をどう生きるだろうか。間違いないのは、死は誰にでも必ず平等に訪れるということ。
人生折り返し地点を過ぎ、繰り返す自然災害やコロナ禍を経て、以前よりこの映画が伝えたいことの輪郭がはっきりしてきたように思う。
人生の価値観は千差万別。ぜひ随所に散りばめられたインスピレーションを、それぞれの解釈で味わっていただきたい。