某⾷品メーカーのお歳暮の CMで「ハムの⼈」という有名なキャッチコピーがあったのは記憶に新しい。贈答時期に毎年ハムを贈ることから、その主⼈公に「ハムの⼈」というイメージがついた、というストーリーだ。そのぐらい贈り物は、贈り主の顔となるといっても過⾔ではない。
私は⾷べることも好きなのだが、それ以上に⼈を喜ばせたいという気持ちが⼈⼀倍強い。良いと感じた商品に出会うと、ぜひ⼤切な⽅々にも召し上がって頂きたいという想いが先に⽴つ。私にとって、贈答品選びは楽しい⼀⼤イベントなのだ。
昨夏のお中元は、⾷通で有名な知⼈からの情報で、この「ふくのオイル漬け」にした。実はまだ⼝にしたことがない商品だったのだが、贈る楽しみと⼀緒にたまには待つ楽しみがあってもいいだろう、と考え即決。⾃宅⽤も⼿配した。
届いたその⽇の晩、早速⾷卓に並べた。はやる気持ちを抑えながら、ゆっくり⼝へと運ぶ。オイルでまろやかになったふぐの旨味が⼝いっぱいに広がった。
「美味い!」思わず頬が緩んだ。想像以上の感動だ。そして⼆⼝⽬、今度は唸った。本当に美味いものを⾷べると、それ以上の⾔葉が出てこないものだ。
いや、本物には余計な⾔葉など不要なのかもしれない。そのままでも酒の肴にピッタリだが、サラダやパスタ、バケット料理など幅広い料理に使えるし、ちょっとしたおもてなし料理にも活躍するだろう。まだ⾷べたことがない⽅にはぜひおすすめしたい逸品である。
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今頃どんな表情で召し上がって頂いているだろうか。美味しく感じて頂けているだろうか。贈った⽅々の顔を思い浮かべそんなことを思い巡らせるのが、私にとって何よりの酒の肴になるのかもしれない。
さて、今夜もこれをつまみながら⼀杯やることにしよう。
松本 隆宏(文/山本さくら)