ギフト

ふくのオイル漬け「コンフ」

(掲載:2020年4月 回帰 創刊号)

⾼級⿂のひとつ河豚(ふぐ)。主に北九州地⽅や⼭⼝の下関では、縁起の良いものとして「福=ふく」と呼ばれている。そのふくをもっと⾝近な⾷材として⾷べて頂きたいという思いから商品化されたのがこちらだ。ほぐしたふくをオイルに漬け込んで蒸す、という作業によって作られ、現在プレーン、中華⾵味、バジル⾵味、⻘唐⾟⼦、博多味、柚⼦胡椒の6種類が発売されている。

博多い津み

福岡市博多区住吉 2-20-14 / TEL:092-291-0231

https://www.hakata-izumi.com

某⾷品メーカーのお歳暮の CMで「ハムの⼈」という有名なキャッチコピーがあったのは記憶に新しい。贈答時期に毎年ハムを贈ることから、その主⼈公に「ハムの⼈」というイメージがついた、というストーリーだ。そのぐらい贈り物は、贈り主の顔となるといっても過⾔ではない。

 

私は⾷べることも好きなのだが、それ以上に⼈を喜ばせたいという気持ちが⼈⼀倍強い。良いと感じた商品に出会うと、ぜひ⼤切な⽅々にも召し上がって頂きたいという想いが先に⽴つ。私にとって、贈答品選びは楽しい⼀⼤イベントなのだ。

 

昨夏のお中元は、⾷通で有名な知⼈からの情報で、この「ふくのオイル漬け」にした。実はまだ⼝にしたことがない商品だったのだが、贈る楽しみと⼀緒にたまには待つ楽しみがあってもいいだろう、と考え即決。⾃宅⽤も⼿配した。

 

届いたその⽇の晩、早速⾷卓に並べた。はやる気持ちを抑えながら、ゆっくり⼝へと運ぶ。オイルでまろやかになったふぐの旨味が⼝いっぱいに広がった。

 

「美味い!」思わず頬が緩んだ。想像以上の感動だ。そして⼆⼝⽬、今度は唸った。本当に美味いものを⾷べると、それ以上の⾔葉が出てこないものだ。

 

いや、本物には余計な⾔葉など不要なのかもしれない。そのままでも酒の肴にピッタリだが、サラダやパスタ、バケット料理など幅広い料理に使えるし、ちょっとしたおもてなし料理にも活躍するだろう。まだ⾷べたことがない⽅にはぜひおすすめしたい逸品である。 

 

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今頃どんな表情で召し上がって頂いているだろうか。美味しく感じて頂けているだろうか。贈った⽅々の顔を思い浮かべそんなことを思い巡らせるのが、私にとって何よりの酒の肴になるのかもしれない。 

 

さて、今夜もこれをつまみながら⼀杯やることにしよう。

 

松本 隆宏(文/山本さくら)