まなび

TRX

(掲載:2021年7月 回帰 第6号)

【TRX】

TRXサスペンショントレーニングとは、米国海軍特殊部隊(NAVY SEAL)の 元司令官ランディ・へトリックが、体力、コンディション維持のために開発したトレーニング法。自体重と重力を負荷として利用する。

大学卒業後、鍛えることから縁遠くなると、徐々に筋肉は痩せ細り始めた。さらに歳を重ねるにつれ、季節の変わり目や雨の日は、古傷による関節の痛みに悩まされるようにもなった。

これではいけないと、過去に何度かジム通いにトライはしてみたものの、マシンを使ったウェイトトレーニングは、関節の痛みという時限爆弾を抱えた身体には不向きだった。

周りの経営者仲間や尊敬する年上経営者は、皆ジムに加圧と熱心だ。引き締まった身体は年齢を感じさせないし、ゴルフではカートに乗らず、歩いてラウンドする程元気な強者ばかり。

そんな訳で、いよいよ私も本格的に鍛えることを決意した。目的は、体力向上としなやかな身体を手に入れること。あともうひとつ、ウェイトトレーニングではない方法であることが条件だ。

そこで色々探した結果、TRXなるものに辿り着いた。TRXとは、米国海軍特殊部隊で開発されたトレーニング法で、柔軟性と体力の向上を目的とする。写真のような器具を用い動きに負荷をかけていくのだが、不安定な状態を維持するため、同時に体幹のトレーニングにも繋がるのだそうだ。

 「ふむふむ、これなら私にも出来そうだ」。ちょっとしたアスレチック感覚と聞き慣れないトレーニング法に好奇心がムクムク。早速体験に申し込んだ。

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体験初日、出迎えてくれた担当トレーナーさんは、溌剌とした礼儀正しい好青年。名前はなんと「松本さん」。彼の人柄と同姓という引き寄せで、心の中ではすでに入会決定!我ながら単純だ(笑)。

ひと通りの説明と軽い柔軟体操をした後、いよいよ体験本番。

が、いざやってみると、思ったようにバランスを保てない。頭では簡単なのだが、筋力の衰えのせいで体重を支えられない上に呼吸が激しく乱れ、想像以上のハードさに心が折れそうになった。

「これはしばらく大変だな」という心のボヤきが聞こえたのか、「松本さんは昔鍛えていたから、一度突けば筋肉の戻りは早いですよ!」という言葉に励まされ、俄然やる気復活(笑)。

そりゃそうだ、考えてみれば、米国海軍発祥なのだから、そんな容易いわけがない。よし、志と気持ちだけは特殊部隊だ!

と、スタートしたのがおよそ半年前。この間、1回30分のトレーニング(有酸素運動なし)を月に4回のペースで通っている。

ここで、たった30分?と思うだろうが、驚くことに4ヶ月目に突入した頃から、昨年買ったばかりのジャケットやパンツがキツくて着られなくなってしまった。ウェストのサイズは問題ないのだが、ヒップと胸がパツパツ。体重マイナス1kg、体脂肪率マイナス2%と数値は減っているのに。

つまり、筋肉が大きくなってきている証拠だろう。全身の肌艶も良くなり、なにより長年悩まされた足腰の冷えや関節の痛みが緩和してきた。予想以上に早い変化だ。

筋骨隆々だった学生時代の感覚も蘇り、鏡の前でニヤリとする毎日。決してナルシストではないと思うが、トレーニーの気持ちがわからなくもない(笑)。その他、脳の血流も良くなってきたことや達成感からか、思考がクリアになり気持ちが若返るという嬉しい副産物もある。

お陰でこのトレーニングをスタートして以来、常に気持ちは20代!身体もそのつもりだが、それは言い過ぎなので30代としておこう(笑)

このTRXは、すべてが自重なので、じわじわと体幹が鍛えられる。これは私がトレーニングをする上で重要としているポイントだ。マシンを使ったトレーニングは体幹を鍛えることには向かないので、私にとっては願ったり叶ったりのトレーニング法なのである。

今や業界は戦国時代を迎え、多くのジムがしのぎを削る。またトレーニング法についても様々な情報が溢れているため、なかには誤った方法で自己トレーニングする方もいれば、年齢や体質に合わない方法で身体に負担をかけていることもあるだろう。事情により難しい場合もあるとは思うが、まずは正しい方法をプロから教わることが成功への近道だ。

振り返れば、私はいつも誰かに支えられ助けられてきた。経営、法務、税務、IT、そして治療、ゴルフ、トレーニングと、様々な分野のプロ達にサポートして頂き成長を続けている。自分を追い込んでいる時間は、いつも以上にこうした周りの方々への感謝を深める時間でもある。人があっての幸せ、健康があっての幸せだ。

TRX、気になる方はぜひ一度チャレンジして欲しい。 

松本 隆宏(文 山本さくら)