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私が選んだ作品たち
映画『杉原千畝(すぎはらちうね)』

(掲載:2021年7月 回帰 第6号)

映画『杉原千畝(すぎはらちうね)』

公開日:2015年12月5日
監督:チェリン・グラック
出演:唐沢寿明/小雪 ボリス・シッツ/アグニェシュカ・グロホフスカ/ミハウ・ジュラフスキ/ツェザリ・ウカシェヴィチ/塚本高史/濱田岳/二階堂智/板尾創路/滝藤賢一/石橋凌/アンナ・グリチェヴィチ/ズビグニェフ・ザマホフスキ/アンジェイ・ブルメンフェルド/ヴェナンティ・ノスル/マチェイ・ザコシチェルニ/小日向文世

公式サイト:https://www.toho.co.jp/movie/lineup/sugihara.html

大したことをしたわけではない。
当然のことをしただけです。

(杉原千畝)

日本のシンドラーと呼ばれた男「杉原千畝(すぎはらちうね)」。

時は1940年7月、第二次世界大戦下。日本領事館副領事としてリトアニアに着任していた杉原は、ナチスドイツの迫害を恐れ逃れてきたユダヤ人難民の困窮に同情。

日本政府にビザの認可を3度にわたり要請するが、政府は日独伊三国同盟の建前もありすべて却下。そこで杉原は「人として当たり前のことをしよう」と、政府令に背き独断で発給を始める。

朝から晩まで書き続けても1日200人分が限界の中、8月末に領事館の閉鎖が決定。それでも、杉原は最後まで諦めずリトアニアを経つ直前まで発給を続ける ー

映画「杉原千畝」ワンシーンより

この映画を観るまで、私はこの方の名前を全く存じ上げなかった。それもそのはず、彼の功績が称えられ、政府が公式に名誉を回復させたのは、今からわずか21年前の2000年10月。終戦から55年後、杉原氏が亡くなって14年後のことだ。

このような偉業を成し遂げながらも、歴史の闇に葬り去られた人物が、一体どのくらいいるのだろうかと常日頃思う。史実というのは本来事実として記録されるべきだ。しかし、立場が違えば歴史は変わり、歴史は勝者によって作られる…というのが世の常。

杉原氏が発給したビザの数は、計6000人分。そして、この時生き延びた6000人の子孫は、現在世界各地で40000人を超えると言われる。たった一人の日本人が救った尊い命のバトンは脈々と繋がり語り継がれているのだ。

しかし、この数も正直なところ、どこまで正確かはわからない。ただ間違いなく言えるのは、異国の地で己れの地位を顧みず、人道を貫き通した真のサムライが実在したということだ。

松本 隆宏