時空の旅

「岡⼭県倉敷市美観地区」新旧・融合の美
レトロモダンな町で先⼈が築いた⽂化と知恵を知る

(掲載:2020年4月 回帰 創刊号)

倉敷川沿いの美しい柳並木と堀割り。倉敷独特の白璧となまこ壁。第一に訪れたいスポットだ。

【倉敷市】

⼈⼝ 475,828 ⼈。岡⼭県南部に位置する。江⼾時代に天領の町として栄えた後、明治期以降に紡績業で隆盛を極める。倉敷紡績株式会社(現:クラボウ 本社:⼤阪市)は創業者⼤原⼀族によってこの地に創業した。「重要伝統的建造物群保存地区」である美観地区や本州と四国を結ぶ瀬⼾⼤橋の街として知られる。

新倉敷駅から徒歩 15 分ほどの場所にある倉敷美観地区。そこに⼀歩⾜を踏み⼊れると、⻘々とした柳並⽊と⽩璧の連なる蔵屋敷の美しさに⽬を奪われる。まるでタイムスリップしたかのような情緒豊かな⾵景は、まさに⼀⾒の価値ありだ。


倉敷市は明治期以降、紡績業で栄えた街である。歴史ある⽇本建築の町並みの中で、ひときわ威⾵堂々と構えるのが⻄洋建築の⼤原美術館と倉敷アイビースクエアだ。これらは当時の倉敷の栄華をうかがい知れる。

大原美術館。大原家の右腕である建築家・薬師寺主計が手掛けた。

観光スポットとして⼈気が⾼い。特に⼤原美術館は、倉敷の⼀⽂化を築いた⼤原⼀族の歴史や精神に触れることができるので、若い起業家の⾒学コースのひとつとしてうってつけではないかと感じる。

 

歩を進めていくと、古い商家をリノベーションした宿やカフェ、雑貨店が多く混在するいくつもの通りに出る。なかでもおすすめなのは、「ジャパンデニムの聖地倉敷」の技術とエッセンスが凝縮したデニムストリートだ。デニムに慣れ親しんで育った若者達が、互いに切磋琢磨しカタチにした倉敷ブランドのの数々は、⽼若男⼥を問わず幅広い世代に⼈気がある。

 

その他、美観地区の名物である優雅な「川⾈流し」を体験してみるのも良い思い出になるだろう。新旧の⽂化を上⼿く融合させ⾒事に保存再⽣されたこの町は、訪れる者の五感を満たしてくれるに⼗分な魅⼒を兼ね備えていると感じた

 

近代⽇本の激動の中、この地で⽣きた先⼈達に思いを馳せながら、ぜひゆっくりと散策を楽しんでいただきたい。

町屋敷が軒を並べるストリート。江戸時代の風情が息づく。

築270年の町屋を再生した吉井旅館。写真は坂本龍馬が泊まった部屋と言われている。