こだわりの暖簾

「Restaurant TOYO Tokyo」 東京 日比谷
〜 特別な一軒、特別な一品が私の人生を豊かに育む 〜

(掲載:2025年1月 回帰 第20号)

【Restaurant TOYO Tokyo】
東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷3F 31300
TEL 03-6273-3340

【アクセス】
地下鉄日比谷駅直通
J R有楽町徒歩5分

【営業時間】
《火〜日・祝日》昼 11:30〜14:30(LO13:00)  夜18:00〜23:00(LO20:00)
《定休日》月曜 ※祝日の場合は翌日定休日、不定休

フランス発日本へ
海を超えて愛され続ける名匠の矜持

2009年、ファッションデザイナーの故・髙田賢三氏の専属料理人として腕を鳴らしたオーナーシェフ中山豊光氏による「Restaurant TOYO」がフランス・パリ6区にオープンした。注目は、日本人シェフによる「西洋と東洋の融合を感じさせる、唯一無二の究極のフレンチ」。パリ6区といえば、古くより文化人や芸術家から愛され、いまなお多くの知識人が住むお洒落な地区として名高い。舌の肥えた美食家も集う特別なエリアで異彩を放つ中山シェフの料理は、自然にそして必然に内外で話題を呼び、たちまち予約の取れない人気店となった。フランスでは日本人シェフの地位がまだ低かった時代である。

そこから少し時計の針を進めた2013年。当時、大手外食チェーンの店舗運営に携わっていた阿部さんは、パリ駐在時のある日、前述の「Restaurant TOYO」を訪れた。そこで初めて中山シェフの料理を口にし、全身の感覚が1点に集中するような衝撃と感動を覚えたのだという。それは自身が目指す食業界の世界観を模索していた最中の出来事だった。「皿にはその料理人が歩んできた系譜と歴史があり、料理とはその皿に世界中で集めてきた食材を昇華させていくことなのだと感じました」と阿部さんは話す。

その後、阿部さんは「Restaurant TOYO」の日本誘致に取り組み、2017年3月、TOYO JAPAN株式会社を設立。翌年3月に東京ミッドタウン日比谷で「Restaurant TOYO Tokyo」をオープンした。

 

「Restaurant TOYO Tokyo」の入口正面には、髙田賢三氏が描いた中山シェフの絵が飾られている。その通路を通り店内に入ると、オープンキッチンのカウンター8席、個室6席、テーブル10席が現れる。カウンターの素材はパリ本店と同じものを採用、サイズもなるべく近いものにしている。料理人にとってオープンキッチンの魅力は、お客様の五感を刺激し、パフォーマンスを最大化できることだろう。ここで繰り広げられる料理の世界観もまた本店と同様。シェフ自ら豊洲へ足を運び選別した食材を、丁寧に繊細に、そしてドラマティックに表現。日本人が持つ美意識に「中山シェフ」という感性が重ねられた世界観が見事に継承され、日本にいながら本店の味を楽しめる。

 

「お客様の多くは、人生の記念日などのハレ利用です。私は経営者なので普段は店にいませんが、ご紹介などがあれば極力ご挨拶にあがります。そのなかでも忘れられないのが、同級生が女手ひとつで育てたお嬢様と一緒にご来店された時のことです。ハタチの記念に初めてのお酒を親子で交わされた様子が印象的でした。レストランにはお客様の記念日に『幸せ』を添える役割があります」と阿部さん。いくつもの成長の壁を乗り越えてきた熱き事業家の眼差しに、彼自身の系譜と歴史を垣間見た気がした。