こだわりの暖簾

大阪「北新地 五郎寿し」 〜 特別な一軒、特別な一品が私の人生を豊かに育む 〜

(掲載:2024年4月 回帰 第17号)

【北新地 五郎寿し

大阪市北区堂島1-2-23田園ビル2F
TEL 06-6347-7788

【営業時間】
《平日》11:30~13:30(売切れ次第)17:00~22:00(L.O.21:00)
《定休日》日曜日・祝日 土曜日は4名様よりご予約可

北新地で気軽にいただく大人の味

狭いエリアに3,700軒もの高級飲食店が軒を連ねる北新地。北新地本通りから1本南、堂島上通り沿いの一角に「北新地 五郎寿し」はある。2013年7月に本店「五郎寿し」の支店としてこの地にオープン、その後暖簾分けで独立。舌の超えた北新地のお客様に愛され続ける人気店へと成長した。店内はカウンター7席、個室4部屋。土地柄もあり、接待や会食利用が多い。

「価格帯の高いお店が多い北新地で、少しでもお安く、旬を活かした美味しいお料理を提供していきたい」と語るのは、大将の保田尚士さん。会った瞬間から相手の心をほぐす朗らかな笑顔が印象的だ。保田さんの1日は、毎朝、市場へ出向くことから始まる。その日に入荷した旬の食材をズバ抜けた目利きで厳選。常連客が喜びそうな食材も買い付ける。

通年メニューは、大将オリジナルの寿司会席。寿司とオリジナルの逸品を組み合わせたコースが人気だ。夏季は鱧しゃぶ、冬季はてっちりにカニすきと、豪華メニューも充実。冬の王道てっちりは、脂ののった2キロ以上のふぐを使用。「ふぐが好きなお客様のなかには、五郎が『寿司屋』ということを忘れている方もいらっしゃいます」と、保田さんは笑う。

大将・保田尚士さん。気さくな人柄に癒される

伝統をアップデートし続ける職人魂

食にうるさい大阪人の胃袋をつかむ保田さんの真髄は、技術はもちろん伝統を守りながら絶えず変革していくこと。たとえば、先代から受け継いだ秘伝の醤油、煮つめ(甘だれ)、てっちりに使うポン酢作り、そしてシャリ。

秘伝とは、いわば創業者の命であり固有の哲学ともいえるが、「前身の五郎寿しより受け継いだ味を守りながら、より美味しくできることはないかと、日々改良と模索を重ねています」と、常に自身の成長を心がける。

暖簾に甘えず、譲れない伝統を守りながら、時代に合わせてお客様の期待に応えていくことは容易ではない。それをおくびにも出さず、鮮やかな技と人情溢れる接客で常にお客様を楽しませる姿勢こそが、リピーターが絶えない理由だろう。

保田さんの魅力は板場だけにとどまらない。現在「北新地 五郎寿し」と、有料老人ホーム内食堂の2店舗を経営。過去には約10店舗を運営してきた「経営人」でもる。

「お客様には大変感謝するとともに、喜んでいただけることが一番大切。『五郎寿し』のことを少しでも心の片隅に置いていただけることが感動につながります」。

計り知れない様々な経験を積んできた人しか語れない言葉の重み。今日も暖簾の向こうで、寿司を主役にお客様の笑顔を作っていく。