今や世界100ヵ国以上、4万店舗を構えるグローバルカンパニー、マクドナルド。 小誌をご覧になっている方も、一度はその味を口にしたことがあるだろう。この映画は、創業者である大実業家レイ・クロックの秘話に基づいて描かれたノンフィクション映画である。
真の創業者であるマクドナルド兄弟が切り盛りする一号店。彼らがウリにしている画期的なシステムに商機を見出したレイは、フランチャイズ化の話を持ちかけ兄弟との契約を交わす。
しかし、次第に堅実経営の兄弟と利益優先のレイは意見が分裂。手段を選ばない傲慢さで次々に事業を拡大するレイは、壮大なハンバーガー帝国創建のため、兄弟との全面対決へと挑んでいくー。
序盤のテンポの良いストーリー。しかし、その展開とは裏腹に、正直、観終わった後はなんとも言えない気分になった。一言で言うと、後味が悪い。
成功者としてのし上がっていく者の業が如実に描かれており、非情とも言えるレイのやり口に、兄弟へ同情する人も少なくないだろう。
さておき、起業家にとっては、新しいモデルをゼロから創り上げ、世界トップクラスへと上り詰めたサクセスストーリーは、やはり学びが多い。
作品全体の印象としては、レイ・クロックのヒールさがさほど強調されていなかったように感じる。プロセスより成果主義のアメリカ。それこそがアメリカンドリームの概念であり、まさに「ザ・アメリカ」を象徴する映画とも言える。
ビジネスには光と陰があり、常に表裏一体だ。レイ・クロックの容赦ない豪腕っぷりは、乗っ取りなのか?革命なのか?それをどう解釈するかはあなた次第。秋の夜長、一味違った作品を観たい方にオススメしたい。