こだわりの暖簾

銀の朏(みかづき) 〜 特別な一軒、特別な一品が私の人生を豊かに育む 〜

(掲載:2022年1月 回帰 第8号)

岐阜県下呂市にて偶然発見されたコシヒカリの新品種「いのちの壱」。飛騨地方及びその周辺地域の中山間地域において、独自に定めた栽培基準により栽培したものだけを“銀の朏(みかづき)”と呼称する。通常のコシヒカリと比べ1.5倍の大きさを誇り、三日月のような1本の白い筋が入っているのが特徴。5年連続日本一を受賞している人気ブランド米。

【合同会社まん丸屋】

岐阜県下呂市野尻298番地2
サイト情報 https://www.ginnomikazuki.com/

知り合いから「銀の朏(みかづき)」というお米を教えてもらった。こんなに美味しいお米はそうないから、騙されたと思って一度食べて欲しいと言う。それならとその場でポチッと注文。2,3日程でそれは届いた。

発送元は、あの下呂温泉で有名な岐阜県下呂市。何度も日本一を受賞したブランド米らしい。期待に胸が踊る。開封してみると、乳白色の丸々とした米粒が視界に飛び込んできた。「デカっ!」。初めて見る大きさに目を剥いた。

その晩、早速自慢の米炊き専用の土鍋に入れて火をかけた。次第に新米の甘くふくよかな香りが部屋中に広がり鼻腔をくすぐる。

ちなみに昔から「初めちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣いてもふた取るな」という言葉があるが、熱源がガスやIHへと変遷した現在、この方法で炊いてしまうと焦げるので気をつけたいところ。

と言っても、私の料理は大抵目分量。よって米の炊き方も“なんとなく”。でもこの“なんとなく”で美味しく炊き上がるのだから、経験や勘も時には重要だ。

さて、炊き上がった、ぷっくりと真珠のように輝く「銀の朏」。一口頬張ると、抜群の甘みとぎゅっと詰まった旨味がこれでもかと波のように押し寄せてくる。二口目、悶絶…。あぁ、日本人に生まれて良かったと思う瞬間。

ささやかで贅沢なひととき。美味しいお米はなぜこうも食卓に幸せを運んでくれるのだろう。百聞は一見に如かず。ぜひ実物を五感で味わっていただきたい。

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松本隆宏(文/山本さくら)