パッション!

− 松本隆宏が語る、「地主の参謀」の未来と求める人材 −

松本 隆宏/ライフマネジメント株式会社 代表取締役

創業の始まりは、たったひとりの人間の「経験」と「想い」によるものでした。世の中に存在しなかった事業を起こし、ただひたすら、地主の為にあり続けた13年。いまや業界のトップランナーとして成長を続ける地主の参謀・松本隆宏に、創業ストーリーや今後のビジョン、仲間への想いについてインタビュー。代表の情熱を感じていただくべく、語り口そのままでお届けします。

自分が求めていた事業をカタチにする

―― 事業にどのようなこだわりを持って取り組まれていますか?

松本:大前提として、自分が困っていたときに「誰かこんなことしてくれないかな」という気持ちがありました。地主が抱える悩み事、例えば不動産や法律に関することを、個別にではなくトータルにプロデュースしてくれるサービスがあればいいのにという気持ちが根底にあったのです。

不動産会社や建築家、保険会社など、個別の事業者はいますが、彼らは相互に利害が一致しているわけではありません。そこで私はコンサルタントとして、物を持つことなく、全体をまとめることによってお客様に資するサービスを展開しています。

―― 松本社長ご自身がそうしたサービスを求められていたのですね。

松本:自分自身が望んでいる事業やサービスをやり続けることが私のフィロソフィーであり、そのひとつが「地主の参謀」という事業だと思っています。現在は東京を中心に事業を展開していますが、ありがたいことにたくさんのご依頼をいただけるようになり、今後は全国規模で対応できる仕組みを作りたいと考えています。

不動産、保険、税務、建築など、様々な業界で活躍してきた方も、弊社でノウハウや経験を活かしていただけるでしょう。そのためにはまず、私たちが仕組みづくりを確立することが必要だと考えています。

―― コンサルタントとして仕事をするには、どのような視点が必要になりますか?

松本:コンサルタントは、物を持たないのが基本です。物を持ってしまうと、不動産、保険、建築のように、それぞれの分野で利害に縛られてしまうためです。

やはり地主の利益をトータルで支援するには、コンサル業に特化することが大切。目先の利益を考えるのではなく、あくまでも地主の方を支えていくという発想が欠かせません。

とくに我々が行っているコンサルティングは、これまでにあった仕事の延長ではなく、ない仕事を作っています。富士山に登るのに、吉田口や裾野口から進むものではなく、富士の樹海から進んでいくようなものです。つまり道がないわけですね。そうした独立型の業務として地主の方に寄り添っていくことこそ、我々の仕事なのだと思います。

チームとして取り組み大きな成果を生み出す

―― 松本社長は「仕事」をどのように捉えていますか?

松本:住友林業を辞めるときに、このまま居続けたほうがいいと言ってくれた人もたくさんいました。一方で、大きい会社だからこそ、居続けるのはもったいないという意見もありました。つまり、居続けることによって才能が開花しなくなる恐れがあるということですね。そうした言葉が、独立する際の心の支えとなりました。

人間は、良くも悪くも人から影響を受けます。そのため、いかに上質な人と出会い、信頼できる人と歩んでいけるのかによって人生も変わると思います。お金のためではなく、そうした人との出会いややりがい、充実感がやはり仕事には必要なのではないでしょうか。

―― 一緒に働くに当たり、どのような才能が求められると思いますか?

松本:私自身、創業者として会社を立ち上げここまで育ててきたので、マルチな才能があると思われるかもしれません。しかし、実際は細かい部分にまで詳しいわけではなく、必要なときに優秀なパートナーや仲間を得ながら事業を展開してきました。必要に応じて、一緒にやる人材を発掘する。その点で言うと、一緒に仕事をする人にはマルチな才能よりスペシャルな才能が必要だと思います。そのような能力のある人々に対し、必要な仕事を担ってもらうことで、お互いに成長できると思います。

―― 個人として高い能力を身につけている人が望ましいのでしょうか?

松本:いえ、必ずしもそうではありません。野球に例えると、私は監督や球団代表、あるいはプレイングマネージャーのような立ち位置にいます。ですので、共に働いてくれる方は、優秀な選手たちのようなイメージでしょうか。

合言葉は「ワンチーム」。個の集合体こそがチームであり、成果を出すのはあくまでもチーム全体でいいのです。個人で活躍するよりも、チーム全体として活躍したほうが大きな成果を得られますし、喜びも大きいと思います。そのような人たちと共に、今後は全国の地主に対して、より大きな価値を提供していきたいと考えています。

松本隆宏が目指している未来とは

―― 現在、松本社長はどのような未来を描いていますか?

松本:私はあと12年で60歳を迎えます。選抜高校野球大会(甲子園)に出場したのがちょうど30年前ということもあり、今後の人生設計を考えるのによきタイミングとなりました。

昨年出版した『地主の決断』と『地主の真実』の影響などで、多くの方々から問い合わせをいただきました。お会いしお話をお聞きして行く中で、私が起業前に感じていた感覚があっていたということを再認識する機会となり、改めて「地主の参謀」が世の中に必要だということを強く実感しております。ただ、エリア的なことや業務量などの理由で、弊社では対応できないケースもあり、求めてくださる方々の為にエリアや事業規模などについて対応できる範囲を拡張していくことを考えております。

―― ご相談者とお話されてみていかがでしたでしょうか?

松本:同じような悩みを抱えている地主の方が想像以上に多いことに驚きました。ご相談者の中には「松本さんがいてくれて、本当に助かりました」と手を取ってくださる方もいらっしゃいました。

―― お客様からの信頼の高さがうかがえますね。

松本:「この会社に任せたい」「長くつきあっていきたい」とお客様に思っていただくことが、私が事業をしていくうえでの重要なポイントとしています。なぜなら私自身、社員やお客様に対して「生涯の友」として長くお付き合いが出来ればと願っているからです。

相続はその代限りで終わるわけではなく、地主である限り続いていきます。「次の代へバトンを渡す――」。それが弊社の役割であり、使命だと強く感じています。

―― いちビジネスパーソンとして、現在考えていることを教えてください。

松本:人生単位で見ると、第一章は学生時代、第二章が起業前、第三章の今、あと2年後から始まる第四章の50代。そして第五章の60歳以降は、自身の「技」と「知恵」を活かし、私を必要としていただく経営者の支援を行なっていくことを考えています。

現在、数社の経営コンサルティングに携わっていますが、今後ますます経営コンサルタントの必要性が高まるでしょう。60歳まであと12年。限りある時間を大切に過ごす為、期日を決めて歩むことが重要だと感じています。60歳でこの事業を次の人間に任せることを前提に、しっかりと世の中に残り、続く事業とすることを考え挑み出しております。

チームと共に未来をつくっていきたい

―― ご著書の『アスリート人材』でも書かれているように、松本社長はチームで事に当たることを重視されています。

松本:人間がひとりでできることは限られています。これは私が野球というチームスポーツに学生時代打ち込んできたから、そのように考えているわけではありません。私ひとりで事業を行っていたら、現在のような規模に成長させることはできなかったと思います。

弊社には私を中心としたメンバーがいて、それぞれが得意な分野で能力を発揮してくれています。そういった意味では、野球やラグビーなどに近いですね。「各々がスペシャリストとして活躍できる環境を構築している」という表現がしっくりくるかもしれません。

―― まさに全社員が主役になっているのですね。

松本:活躍している人材には、いくつかのポイントがあります。まずは、誠実であること。そして、良心が強いこと。誠実さや良心は、知識を得ただけでできる気になるのではなく、物事を素直に吸収し、愚直に学び続け、経験値を高めていく人材に不可欠な要素です。そのうえで、個人的な資質としては「明るい人」「敏感な人」「成長欲が高い人」が望ましいと思います。私の周囲にいる人の中でも、とくに成功を収めている人は、共通して常に明るく、感度が高く、また成長への意欲が強いように感じます。

―― 仕事に向き合う姿勢についてはいかがでしょうか?

松本:未来への希望や期待感を抱いていて、加えて“追求心”を持っていることが大切です。総じて前向きな心と言えるかもしれません。前向きな姿勢は、どんな仕事をするうえでも重要な要素になります。私のメンターも「自己投資は未来への期待値のあらわれである」と述べているように、成長しながら自分の強みに気づき、それを磨いていけば、仕事に対する意欲ややりがいも高まっていくはずです。

―― 新たな採用をする予定はあるのでしょうか?

松本:今後の事業展開を見据え、本格的に採用を考え出しおります。正義感が強い人間が徐々に加わり、全国の主要都市へ「地主の参謀」が出て行くでしょう。野球で身に付けた組織論や実社会で学んできた組織論をそろそろ活かす時期に突入している気がします。

おわりに

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