世界を震撼させた9.11の直後。米軍特殊部隊がたった12人で秘密裏にアフガニスタンへ乗り込み、5万人の敵勢を制圧した衝撃の実話をご存知だろうか。
正確には、反タリバン派の地元勢力ドスタム将軍と手を結び完遂したのだが、険しい山岳地帯の移動手段はなんと馬。ほとんどの隊員は乗馬経験がないなかで、どのようにして戦ったのだろうか。
当時、軍事最高機密だったこの作戦。本来は3年を要する過酷なミッションだが、彼らに与えられたリミットはたった3週間。テロに散った犠牲者やその遺族、愛する家族のために立ち上がった12人の勇姿とその戦闘の全貌が、鬼才ジェリー・ブラッカイマー(以下、J.ブラッカイマー)によって映画化された。
J.ブラッカイマーといえば、「ブラックホークダウン」「パールハーバー」「ザ・ロック」などの名作を次々に生み出した名プロデューサーだ。序盤から始まる手に汗握る緊迫感や、前時代的な騎馬隊での戦闘シーン、そして骨太なカメラワークなど、終始ばつぐんの安定感はさすがのひとこと。
J.ブラッカイマー作品のみならず、アメリカ映画には戦争作品が多い。その理由のひとつとして、アメリカ人にとって戦争とは現在進行形の政治的テーマがあることが考えられる。とはいえ、この作品も全体的にヒーロー礼賛、アメリカ賛美の感が否めないのはやはりお国柄であり、悲観的なものが多い日本の戦争映画とは対照的だ。
そんな本作だが、「事実は小説よりも奇なり」虚構ではないからこその没入を感じていただきたい。