およそ30年前に連載された、漫画家かわぐちかいじの作品「沈黙の艦隊」を、現代の技術と圧倒的なスケールで実写映画化を実現。キャストには、大沢たかお、玉木宏、上戸彩、ユースケ・サンタマリア、夏川結衣、江口洋介ら豪華実力派が集結。監督は『水曜日が消えた』『ハケンアニメ!』などの吉野耕平がメガホンを取る。
海上自衛隊のエリート海江田四郎艦長(大沢たかお)は、核ミサイルを搭載した日米極秘開発の原子力潜水艦シーバットとともに深海に姿を消した。彼が求める真の目的は何なのか ー。
センシティブな核問題というテーマを取り上げ、実写化不可能と言われた原作の内容をすべて最新に衣替えできた背景には、原作ファンである大沢たかお自ら防衛省や自衛隊との協力体制を構築するなど、並々ならぬ熱い想いがあったという。加えて、VFX技術の進化が後押ししたことは言うまでもなく、様々な条件が揃ったのが、令和の今だったということだろう。
作中では、米軍に包囲されながらも凛とした姿勢を崩さず、世界と対峙する海江田艦長の姿が印象的だ。深海を知り尽くした男が、完全なる頭脳戦と心理戦で窮地を脱していく様は圧巻で、さながらチェスゲームの展開を観ているような錯覚にとらわれる。
今や、ウクライナやイスラエル・ハマス戦争など世界情勢がにわかにきな臭くなり、この数年で重大な局面を迎えている。世界がどこへ向かっているのか、日本はどういう状況なのか、真剣に考える時が来ていることを痛感させられる作品だ。もはや、私達は見て見ぬふりは許されない、そんな時代に突入したのだと。
平和ボケが続く日本人、そして人類に警鐘を鳴らす衝撃作。続編にもぜひ期待したい。